SPR(心霊研究協会)

2009年7月30日 (木)

『幽霊を捕まえようとした科学者たち』~5パーセントの真実を求めて

 過去に投稿した原稿第2弾です。

 十数年ぶりにスピリチュアリズムに復帰しようとしていたこのころ、しかし未だに半信半疑でした。また、世に溢れる「スピリチュアル」なるものの玉石混交ぶりにとまどいも感じていました。そんなとき本書を読んで、近代スピリチュアリズム勃興期のSPRに集った科学者たちの真摯な姿勢や奮闘ぶりに感銘を受けて執筆したものです。本の内容紹介が中心となっていますが、よろしかったらお読みください。

 なお、本文中にあるアイイスとは、私が信頼を寄せるスピリチュアリスト団体のひとつである「国際スピリチュアリズム協会(IIS)」のことです。

『幽霊を捕まえようとした科学者たち』~5パーセントの真実を求めて

私は色んなところをさまよった挙句、今一度スピリチュアリズムを信じてみる気になった。そして、信じるためには体験を積まねばとの思いから、スピリチュアル、霊視、霊能などのキーワードで、インターネット界を検索してみた。深夜、スピリチュアルを欲望実現の道具としか見ないサイトの数々に気分が悪くなり、絶望的な気持ちに陥った。結局、こんなレベルのものしかないのか…。

そして翌朝、ふとした偶然から、アイイスのサイトに辿り着いた。そのページ全体から伝わってくる信頼感、そして講師の方々の写真を見たときの安堵感は、今も忘れられない。その日のうちに事務室に連絡し、入会とリーディングを申し込んでいた。

サイエンスライターのデボラ・ブラムによる『幽霊を捕まえようとした科学者たち』(文藝春秋)は、イギリスとアメリカのSPR(心霊研究協会)の草創期の主役たちのドラマを丹念に追った力作である。江原啓之さんはSPRを霊の存在を否定するために研究している団体であると紹介している。しかし、少なくともSPR創設に携わった本書の主役たちは、進化論に象徴される科学が宗教を圧倒していく19世紀後半から20世紀初頭の世界にあって、あくまでも冷静に、健全な懐疑精神と厳密性を保ちながら、科学と宗教の橋渡しをすべく、心霊研究に没頭していった誠実な人たちであったようだ。アメリカ、イギリス、フランスなどの心理学者、哲学者、生理学者、物理学者などの錚々たる面々(中にはノーベル賞受賞者もいた)が、その名声を危機にさらしながら、研究を重ねていった。彼らのことを筆者は「ゴーストハンターズ」と呼ぶ。

哲学者フレデリック・マイヤーズが師のヘンリー・シジウィックと星空を仰ぎながらケンブリッジのキャンパスを歩く場面が印象的だ。マイヤーズは自問する。「自明のものを超越した存在、死すべきものを超越した存在があるのなら、誰かがそれをまじめに、組織的に研究すべきではないのか?自分がその誰かになるべきではないのか?」シジウィックが語る。「わたしも霊の研究が、物質的な現世を超えて未踏の世界へと達する『最後の希望の場』をあたえてくれるかもしれないと思っている」

SPRの研究に対しては、当然のことながら「正統派」科学者から激しい批判と嘲笑を招く。そればかりではなかった。ゴーストハンターズは信頼できる霊媒を使った実験を重ねるだけではなく、職業霊媒たちのインチキを多く暴き、かなり良い結果を出した霊媒であっても、一度でもインチキがあったり、疑わしい面のあった事例については、徹底的に証拠から除外していった。例えば神智学の創始者と言われるマダム・ブラヴァッキーについてはペテン師と決め付けた。仲間の物理学者ウィリアム・クルックスが肩入れした女性霊媒フローレンス・クックの支配霊ケイティー・キングについてもきわめて否定的な態度を取った。このためスピリチュアリストの一部からもかなりの反発を買うことになる。

心霊研究者エドマンド・ガーニーは、膨大な事例を検証しながら言う。「なんらかの価値があるのは、善意で寄せられた事例の5パーセントぐらいでしょう。でも、残りの95パーセントにも身をさらさなければ、その5パーセントはけっして手にはいらないのです」

研究を進めていく途上で、主役たちの何人かは先に逝ってしまう。霊媒を通じて彼らが遺された者たちにメッセージを寄せてくる。SPRは、それらについても厳密な検証を重ねていく。そして、主役たちの多くは、当初の懐疑派も含めて、個人的には霊の実在を確信していくが、それだけでは満足せず、徹底的な否定論者をも納得させられるようなさらなる証拠を求めて、終わりなき探求を続けていく。

近藤千雄さんによると、現在のSPRは資料収集をするばかりでその存在意義を失っているという。また、スピリチュアリズムは、科学者の実験対象となるような現象面中心から、霊的真理の普及や心霊治療などに重点を移しつつあるとの解釈も聞かれる。その真偽を判断することは私にはできない。しかし、玉石混交のまま空前のスピリチュアルブームの様相を呈している現代日本においてこそ、安易に信奉するのでもなく、頑なに否定するのでもなく、確かな目で「5パーセントの真実」を追求していこうとする本書の主役たちの姿勢が再評価されるべきではないだろうか。(2008年2月)

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