現代医学

2010年6月 1日 (火)

現代医学とスピリチュアル・ヒーリング~父の思い出とともに

 タイトルは大きいですが、個人的な話題が中心です。

 2001年夏、我が子が誕生した直後に、ヘビースモーカーの父の肺がんが発覚しました。父はがん治療で有名なある病院に入院し、長時間に及ぶ難しい手術を受けました。しかし結果はⅢ期bという末期の一歩手前というもので、手術はほとんど無意味でした。5年生存率10%未満という厳しい数字を知って私は愕然としました。

 それから遅ればせながら、私は「がん」について勉強を始めました。『患者よ、がんと闘うな』などで有名な慶応大学医学部の近藤誠さんの一連の著書は衝撃的で、しかも説得力がありました。近藤さんは、がん治療を否定しているのではなく、EBM(evidence-based medicine=証拠に基づいた医療)の立場から、無駄な治療や検査を批判されています。近藤さんが特に重視するのは、大規模な臨床試験結果に基づく有効性の検証です。そこで有効性がないという結果が出ているのに、安易にその治療を続ける医師や病院の姿勢を厳しく批判されているのです。

 父は手術後、入院による抗がん剤治療を勧められましたが、私は、父の了解の上で、抗がん剤治療を断り、母と二人で暮らす自宅での療養を続けさせました。主治医との関係は少しぎくしゃくしました。しかも大病院にとっては、治療を受けない患者はあまり歓迎されません。自営業者で社交性もなく典型的な頑固親父だった彼の性格を考えると、自宅で最期を迎えるのがふさわしいと考え、幸いにも自宅からまあまあ近いところに在宅ホスピスに熱心な医師(しかも呼吸器外科が専門)のクリニックを見つけたため、そこへの通院を始めました。

 そんな矢先の2003年6月、母がクモ膜下出血で急死しました。父は突然一人暮らしとなってしまいましたが、介護保険によるヘルパーさんや訪問看護の支援などを受けながら、なんとか暮らし、2004年4月にあの世へと旅立ちました。私は未だに、桜の木から桜吹雪が舞い散るのを見ると、父が最期を過ごした病室から見た桜吹雪を思い出します。

 父とともに闘病する中で感じたのは、現代医学の何とも言えない、味気なさ、安らぎのなさでした。EBMは確かに正しいけれど、私の目の前にいて、なすすべもなく時を過ごす父に対して、現代医学はどうすることもできないのだろうかと思いました。忙しい医師の診察では、患者側が的確に効率よく話さないと、何も伝えられないという緊張感がいつもありました。便秘がひどいと言えば下剤、痛みを訴えると鎮痛剤や湿布が処方されました。父に出される薬はどんどん増えていき、最期に近いころは、モルヒネの影響もあって自分で自分の薬の管理ができないほどになりました。ヘルパーさんや訪問看護の看護師さんたちの温かさには救われましたが、現代医学や介護保険だけでは何か足りないような感覚があったのを今でも覚えています。

 父を送った後に、代替医療や補完医療(まとめて補完代替医療とも)と言われる、現代西洋医学とは違う世界があることを知りました。また、スピリチュアリズムに復帰してからは、スピリチュアル・ヒーリングというものがあることも知りました。アメリカにおける代替医療の第一人者と言われるアンドルー・ワイル博士や、日本の第一人者、帯津良一さんの本も読み、とても参考になりました。

 補完代替医療の世界は、当然のことながら玉石混交です。それはある程度やむを得ないかなと思います。それはともかく、こうした世界をもっと早く知っていたら、父に対しても、もう少し違うものを提供してあげられたのではないかと思います。恥ずかしながらスピリチュアル・ヒーリングについて学んでいる今なら、父を治験対象(笑)にすることもできただろうになあと思います(父は間違いなく嫌な顔をしたと思いますが)。

 ただ、私は現代西洋医学を否定したり、軽視したりする姿勢には反対です。先人達が長年にわたって積み上げてきた経験や理論、そしてEBMに象徴されるような徹底的に厳密な臨床試験の蓄積などを、あなどってはいけないと思います。

 補完代替医療やスピリチュアル・ヒーリングには、現代西洋医学にはない素晴らしい点が多々あると思いますが、現代西洋医学に比べてまだまだヒヨっ子だとの謙虚な自覚も必要だと思います。

 補完代替医療にはEBMはなじまないというような説明も聞きます。また、スピリチュアル・ヒーリングは、治るべき人は治るが、治るべきでない人は治らないというような面もあり、臨床試験のような考え方はなじまないのかもしれません。

 しかし、私は、いつまでもその段階に甘んじていてはいけないのではないかと思います。近代スピリチュアリズムも霊という宗教的世界を科学的に証明しようという意気込みから始まりました。補完代替医療やスピリチュアル・ヒーリングの側も、EBMにならって、科学的な検証を受けて立とうという姿勢が必要だと思います。

 父の最期をどこで迎えさせてあげようかと迷っていたとき、日本ではまだまだ少ないホスピスを見学しに行ったことがあります。しかし、私の父には少し上品で静かすぎるような気がしました(笑)。その頃、あるテレビ番組で、ホスピスで最期のときを過ごすおばあさんに、お孫さんが歌をプレゼントしていて、そのメロディが今も耳に残っています。確か「千と千尋の神隠し」の挿入歌だったと思うのですが、その歌を今朝偶然に耳にしました。それがきっかけで父のことを思い出しているうちにこんな文章を書いてしまいました(笑)。

| | コメント (1) | トラックバック (1)

その他のカテゴリー

SPR(心霊研究協会) | 『第2の江原を探せ!』 | 『臨死体験』 | こぼれ話 | さだまさし | アセンション | アラン・カルデック | アルボムッレ・スマナサーラ | イエス | インスピレーショナル・ライティング | インスピレーション | インペレーター | オウム真理教 | カルマの法則 | コックリさん | ゴスペル | サンタクロース | サンデーサービス | ステイトン・モーゼス | スピリチュアルな生き方 | スピリチュアル・カウンセリング | スピリチュアル・ヒーリング | スピリチュアル体験 | スピリチュアル突撃体験記 | ティク・ナット・ハン | トイレの神様 | ニセ霊視体験 | ニューエイジ系チャネリング | ハリー・エドワーズ | パワースポット | ヒーリングセンター | フォックス姉妹 | フランチェスコ | フレデリック・マイヤーズ | ブッダ | ベーシックインカム | ホメオパシー | マザーテレサ | モーリス・バーバネル | 仏教とスピリチュアリズム | 仏教と自殺 | 前世 | 副守護霊 | 千と千尋の神隠し | 原発 | 友人の自殺 | 四天王寺参禅会 | 国際スピリチュアリズム協会 | 天国と地獄 | 夫婦喧嘩 | 悟り・解脱 | 指導霊とハイヤーセルフ | 書籍・雑誌 | 東京スピリチュアリズム・ラボラトリー | 死の受容 | 現代医学 | 生きる意味 | 生活保護 | 発達障害 | 紅白歌合戦 | 経済 | 自己完成・他者救済 | 自己責任 | 般若心経 | 認知療法 | 讃美歌・マントラ・念仏 | 超心理学 | 近藤千雄 | 逆説の10カ条 | 阿弥陀仏 | 霊に関する迷信 | 霊・あの世 | 霊魂仮説とESP仮説 | 飯田史彦