『臨死体験』

2009年8月11日 (火)

立花隆著『臨死体験』を読み返しながら・・・

過去に投稿した原稿第3弾です。

立花隆さんの労作『臨死体験』を十数年ぶりに読み返しながら考えました。

何を考えたのか・・・は本文をお読みください。

立花隆著『臨死体験』を読み返しながら・・・

19913月、立花隆さんの取材によるNHKスペシャル『臨死体験』が放映され、大きな反響を呼んだ。多くの日本人にとって、「臨死体験」の存在は衝撃的だったようだ。当時、何の疑問もなくスピリチュアリズムを信奉していた私にとっては、「臨死体験」は当然の現象だった。この分野に「知の巨人」立花隆さんが切り込んでくれることを大いに歓迎し、当然、霊の実在を証明してくれるものと期待していた。

その後、立花さんは膨大な取材や調査の結果を、『臨死体験』(文藝春秋)という重厚な2巻本にまとめあげた。立花さんは臨死体験の解釈として、霊界の存在を前提とする「現実体験説」とその存在を否定する「脳内現象説」を並び立たせ、どこまでも一方に軍配を上げようとはしない。そして後半部分になると、ほとんどの事例は「脳内現象説」で説明できるとし、残された「現実体験説」でしか説明できない事例については、証拠不十分として保留にしてしまう。

この展開は、私にとっては、世間の人たちとは全く違った意味で衝撃的だった。「脳内現象説」として紹介されている様々な考え方に従うと、スピリチュアリズムはもちろんのこと、ブッダが到達した悟りもイエスやモーゼが受けた啓示も、すべて「脳内現象」、すなわち単なる幻覚みたいなものということになりかねない。本書は、その後、私がスピリチュアリズムに懐疑的になり、離れていくひとつのきっかけとなってしまった・・・。

十数年ぶりにスピリチュアリズムに復帰した今、改めて『臨死体験』を読んでみた。当時衝撃を受けた「脳内現象説」も冷静に読めば、まだまだ仮説段階で、自信たっぷりというには程遠いようだった。立花さんの論展開も、霊の存在を安易に認めまいとする慎重さからか、やや強引な印象を受けた。

本書に、現代アメリカの研究者コリン・ウィルソンの言葉として「ウィリアム・ジェームズの法則」というものが紹介されている。ウィリアム・ジェームズは、近代スピリチュアリズム草創期に、SPR(心霊研究協会)を舞台に活躍したアメリカの心理学者・哲学者である。ジェームズの時代からそうだったようだが、超常現象の研究には「信じたい人には信じるに十分な証拠が出る一方、信じたくない人には否定するに十分な曖昧さが残る」という。それをウィルソンたちは「ウィリアム・ジェームズの法則」と呼んでいる。

私は、本書を以前読んだときには、霊の存在が事実であるならば、信じたくない人も否定できないような証拠が提供されるべきであり、「ウィリアム・ジェームズの法則」とは、霊の存在証明ができていない=霊は存在しない、ということを意味するのではないかと考えた。

しかし、今は少し違った考えをもっている。そもそも私たちは、なぜ、霊界や過去世の記憶を失って物質界に生まれてくるのだろうか。それは、私たちの修行にとって、あえてそうすることに意味があるからではないだろうか。今や地球が自転していることが自明であるように、霊や霊界の存在が信じたくない人にとっても当然の知識となってしまえば、物質界を選んで生まれてくる意味が半減してしまうのではないだろうか。

人類は、19世紀頃から科学的精神や合理的思考力を身につけた。それに照準を合わせるように神(霊界や高級霊たちと言い換えてもよい)は、近代スピリチュアリズムをもたらしてくれた。しかし、神は、科学だけで真実を見つけよとは言っていないのではないか。私たちに与えられた理性や感性、これまでの人生経験で身につけた判断力やインスピレーションなどを総動員して、ひとりひとりの心で、正しいと思う世界観や人生観を選び取りなさい。それができるだけの材料はすでに与えてある。「ウィリアム・ジェームズの法則」を通じて、神はそう言っているような気がする。

6歳になる息子がある日こんなことを言った。「お父さん、神様とお話しすることってできるんだね。」「世界のみんなが好きですかって聞いたら、『あたりまえです』って答えてくれた。聞こえたわけじゃないけど、そんなふうに感じたよ。」

向こう側から来て間がない子供たちは、私たちよりずっと真実に近いところにいるのかもしれない。(2008年6月)

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