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2014年1月 1日 (水)

正統と異端(2)~異端の心構え

 あけましておめでとございます。
 本年もよろしくお願いいたします。

 年末に大仰なテーマで書き出してしまいました。
 その続きです。

 前回、「異端の立場に立つ者が、主流や正統にどう向き合うのか」と問いかけました。
 それに対する私の端的な答えは「主流や正統と呼ばれる立場をしっかりと理解せよ」というものです。当たり前すぎるでしょうか。

 主流や正統になっているものには、そうなっただけの理由があります。権力をもっているからとか、闇の勢力に操られているから(陰謀説)といったことで片づけてしまうのは乱暴です。逆に、少数派や異端になっているのにもそれなりの理由があるはずです。そこのところを謙虚に自覚する必要があります。

 主流や正統が必ずしも正しいとは限らない。これは真(正しい)です。しかし、そこから、「少数派や異端こそが正しい」とするのは、明らかに飛躍です。歴史的に見ると、確かに、少数派や異端が、後に正しいと判明したり、主流になったりすることがありました。しかし、それはきわめてまれです。「我らは今は異端だが、それゆえ正しいのだ」というのは、論理的に全く成り立ちません。

 この少数派や異端であるがゆえに正しいという発想は、行き過ぎるとカルト的になります。以前、紹介しましたが、オウム真理教の幹部だった上祐史浩氏は、『オウム事件17年目の告白』においてオウムの思想を次のように総括しています。

 「麻原・オウム真理教の思想の特徴は、善悪二元論だった。自分たちこそが預言された、生き残るべき神・キリストの善業多き魂の集団で、残りの社会の大半は滅ぶべき(ポアされるべき)悪業多き魂として、世界を善悪で二分化するものだ。
 しかし、これは、明らかな妄想だった。自分たち=教団に関しては誇大妄想であり、他者=社会に対しては被害妄想を抱くものだったのである。」

 少数派や異端を自覚する人たちが、主流や正統の側を理解せず、独りよがりに陥った先は、このような誇大妄想と被害妄想ではないでしょうか。その歪んだ一形態が、最後の審判やハルマゲドンを待望する終末論です。そのとき異端と正統が入れ替わる大どんでん返しが起きるのを期待するわけです。

 そんなものはいつまで待っても来ません。異端は正統をしっかり研究して、こつこつと努力して、いつか正統と呼ばれるように地道に努力しましょう。

 少し話が広がりすぎました。経済的な話に戻ります。
 資本主義という正統に対抗しようとした社会主義という異端(と呼ぶにはあまりに大きなものでしたが)は、ことごとく失敗に終わりました。

 私が学生だった頃は、すでに社会主義は輝きを失っていました。しかし、先進工業国が進んだ道をほかの国々も追いかけるのが果たして正しいのだろうかという異議申し立てがあちこちでなされていました。そして様々な異端の理論が提唱され、また実践されました。私もまた、そうした流れに夢や希望を託していた一人だったように思います。

 しかしながら、こうした実践もまた、多くが失敗したばかりではなく、多くの罪のない人たちを貧困や飢餓や人権抑圧という悲惨な状況に追い込んでしまったように思います。

 私はこういう状況を見聞したときに、たとえ社会をよりよい方向に変革したいという思いからであっても、安易に異端の理論に乗っかることは危険であると考えるようになりました。むしろ主流や正統と呼ばれる経済学の立場をきちんと理解すべきではないかと。失敗の原因、というより、そのような失敗が明らかなものに安易な期待を寄せてしまった原因は、経済学の無理解にあったのではないかと。

 まあ、そんな思いで、専門外ではありますが、ときおり経済学の本や経済学者の発言を追いかけてきた中で、この人たちは理論的にも実証的にもかなり本物ではないかと感じたのが、リフレ派と呼ばれる経済学者たちでした(アベノミクスが登場する随分前のことです)。

 そして、そのリフレ派経済学者の中に松尾匡さんという風変わりな学者がいます。
 次回こそ(笑)、その方を紹介しましょう。

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