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2013年6月13日 (木)

自ら死を選んだ魂について(1)

 自殺・自死について書きます(近年は自殺に代わって自死という表現もよく使われます)。

 最近、自ら死を選んだ魂は救われないのだろうかという問いを受けました。
 私の端的な答えは「そんなはずはない」ですが、もう少し丁寧に書いてみたいと思います。

 自殺した魂は救われないとか、地獄に落ちるという説をあちこちで聞きます。もちろん自殺はすべきではないし、身近に自殺を考えている人がいたら、何とかして防ぎたいと考えます。以前書いたように、私の友人は長い間、自殺企図をもっていて、何とかしたいと思いましたが、ついに防ぐことができませんでした。そしてその後、周囲に本当に大変な苦しみや悲しみを生み出してしまいました。

 しかしそのことと、魂が救われるかどうかは別問題です。

 以前「仏教と自殺~『ルポ 仏教、貧困・自殺に挑む』を読んで」という記事を書きました。その中で仏教教団が仏典からブッダの自殺観を調べたという話を紹介しました。その結論は「釈尊は自殺について価値判断をしていない」というものでした。決して自殺を容認しているわけではなく、「仏典は、ぎりぎりのところまで「生きろ!」と呼びかける一方で、自殺という行為そのものについては、良いとも悪いとも語っていない」というのです。

 自殺問題に取り組むNPOライフリンク代表の清水康之さんはこうした取組みに一定の評価をしていました。彼の発言を改めて引用します。

 「社会問題となっているのは、ほんとうは生きたいのに追いつめられた結果としての自殺です。それを悪や罪としか語れない思想は貧弱。どれほど多くの遺族らが傷つけられたでしょうか。仏教もキリスト教も取り返しのつかないことをしてきたわけです。信頼回復は簡単ではありませんが、原点に返り、現実的な姿勢を取りはじめたのは心強い。弱い立場の人間に寄り添い、声なき声に耳を傾ける。宗教界がそうした本来の役割を果たすため、どう踏み出していくのか見つめたいです」

 では、スピリチュアリズムはどうでしょう? やはり同じように悪や罪と語ることが多いように思います。

 私が強烈に印象に残っているのは、高橋信次さんの説明です。高橋さんは、新宗教の巨人と呼ばれ、後の多くの新宗教にも影響を与えた方です。高橋さんの死後、彼の作った教団や後継の人たちには様々な混乱もあったようですが、彼の卓抜した霊能力については立場を超えて多くの人たちが証言しています。私は高校時代に高橋さんの著書からスピリチュアリズム的な考え方をはじめて知り、その後、シルバーバーチに出会いました。著書から推測するだけですが、人格的にもすぐれた方だと感じていました。

 彼の著書の自殺に関するくだりを改めて読んでみました。

 「自殺は調和という神の目的から、大きくはずれた行為であり、神にたいする冒涜、反逆であって、人間否定を意味します。ですから悪のうちでも、自殺は最悪の部類にはいります。」「自殺者の死後の世界は暗黒地獄です。一寸先分らぬ真暗な穴倉のようなところに閉じ込められての苦しみの連続です。鼓膜が破裂しそうな轟音が鳴り響くところとか、得体の知れぬ生物が意識のなかに入り込んでかきむしるのです。」(高橋信次著『心の対話』)

 強烈でしょう?
 でも、よく読むと、高橋さんも一方的には決めつけていません。一定の留保をつけています。

 「自殺も、さまざまな内容を伴い、各種にわかれています。戦争という異常事態における自殺(たとえば特攻隊)もあれば、・・・・たとえば家族の迷惑を考え、ひと思いに生命を絶っていく療養生活の長い老人。形はどうあれ、いちばん問題なのは、本人のその時の想念のあり方にありますが、」(同書)

 しかし、人はたいていこういう留保には気づかず、上の強烈な部分ばかりが記憶に残るものです。いや、私がそうでした(苦笑)。

 最近の自称スピリチュアルカウンセラーの中には、友人が自殺してもう少しで大変な地獄に落ちるところを私が救いだしたというような話をしている方もいます。

 果たして、どうなのでしょう? 自殺・自死した魂は地獄行きなのでしょうか?

 そんなことはないと私は思います。そもそも地獄という世界の存在に対しても私は懐疑的です。

 次回は、私の友人をめぐるささやかな経験から考えてみたいと思います。

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