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2013年1月

2013年1月14日 (月)

前世について~近藤千雄さんを偲んで

 昨年末に、ふと、近藤千雄さんはどうされているのだろうと思い、ネットを検索してみて、12月に霊界に還られたことを知りました。

 近藤さんから受けた恩恵は計り知れません。学生だった1984年に精神世界コーナーにあった『古代霊は語る』という本を手に取ったのが、近藤さんとの出会いでした。のちにシルバーバーチの霊訓をすべて翻訳することになる近藤さんのシルバーバーチ本第一号でした。本書は、近藤さんがのちに全訳を手がけるとは夢にも思わず、シルバーバーチの霊訓のエッセンスを集め、他の霊界通信の情報も補足した、とても重宝で密度の濃いものになっています。

 近藤さんは、シルバーバーチだけではなく、ステイトン・モーゼスをはじめ欧米のスピリチュアリズムの良書を次々と翻訳されました。そして、翻訳の実績をベースにスピリチュアリズムに関するご自身の著書も多数出されました。どれも良識に満ちたすばらしい本で、本当に多くを学ばせていただきました。

 そんな良書のなかのひとつに『霊は実在する、しかし~真贋乱舞の中で』という本があります。コンパクトな本ですが、近藤さんが世に溢れる俗的な心霊理解(1988年初版の本なので江原さん登場によるスピリチュアルブームはまだの頃です)を批判的に検討していて、とても好きな本です。

 そのなかに「生まれ変わりはある。しかし・・・」という章があります。前世や再生(輪廻転生)の問題です。

 まず、アメリカの霊能者D・Dホームの言葉が引用されます。

《私は多くの再生論者に出会う。そして光栄なことに私はこれまで少なくとも12人のマリー・アントワネット、6人ないし7人のメリー・スコットランド女王、ルイ・ローマ皇帝ほか数え切れないほどの国王、20人のアレキサンダー大王にお目にかかっているが、横丁のおじさんだったという人にはついぞお目にかかったことがない。もしもそういう人がいたら、ぜひ貴重な人物としてオリにでも入れておいてほしいものである》(心霊誌“スピリチュアリスト”)

 なかなか辛辣な言い方ですが、確かにそうだと思います。現代の日本でも、前世リーディングでは、武士や僧侶など特定の階級の人たちに偏り、例えば江戸時代に大多数を占めたはずの農民がほとんど出てこないことはよく指摘されています。

 退行催眠によって前世を語らせる「前世療法」を広めたのはアメリカのブライアン・L.ワイスですが、近藤さんはこうした行為にも警鐘を鳴らしておられます。

 次のようなシルバーバーチの言葉が引用されています。

《いわゆる遡及によって前世とコンタクトできることは否定しません。が、必ずしもそうでないところに問題があります。それと言うのも、人間の精神には莫大な可能性が秘められていて、地上の人間には到底その深奥まで掘り下げることはできないからです。
 創造力もありますし潜在的願望もあります。霊によって憑依されている可能性もあります。そうした要素のすべてを考慮しなければなりません。催眠中に体外遊離が起きて、その間の一連の記憶が印象づけられていることもあります。こうした場合は過去世を思い出していることにはなりません。》
《ここでぜひ指摘しておきたいのは、地上の人間は再生というものを今の自分に無い一種の栄光に憧れる気持から信じている場合が多いということです。人間世界でいう“劣等感”です。現在の自分の身の上はうだつが上がらなくても、かつての前世では高貴な身分だったのだと信じることによって慰めを得ようとするのです》

 ここでは催眠のことだけが触れられていますが、ミディアムによる前世リーディングも同様ですね。

 身近な人の霊とコンタクトするリーディングの場合、その信憑性をある程度検証することができます。それによって霊的世界の実在を実感するという意義があります。しかし、前世を知ろうとする行為にどのような意義があるのか、私は疑問です(イアン・スティーヴンソンの「生まれ変わり研究」のようなものにまでつながるのならば話は別ですが)。

 と、まあ、こんなことを偉そうに考えているのも、実は近藤さんの影響なのかもしれませんね。

 近藤千雄さんのご功績に感謝するとともに、ご冥福をお祈りいたします。

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