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2012年11月 5日 (月)

超心理学2~能力者への仕打ち

 前回に引き続いて石川幹人著『超心理学-封印された超常現象の科学』からの紹介です。

 初期の心霊研究では霊媒が、超心理学では超能力者(本書では能力者と呼んでいます)が、科学者の実験対象となりました。超心理学の創始者と言ってもいいJ.B.ラインは、能力者を対象とする実験に早々に見切りをつけ、より再現性の高い一般の人たちを対象とする実験へと移って行ったと言われています。

 さて、その能力者の扱いです。本書ではまず、懐疑論の伝統的団体であるサイコップ(CSICOP)による、ロシア生まれの人体透視能力者ナターシャ・デムキナの実験が紹介されています。そこでのかなり失礼で人を追いつめるような扱いを見て、この実験を仲介した新聞記者は後悔したとのことです。ちなみに実験結果はかなり良かったのですが、サイコップは失敗と決めつけたようです。

 また、明治末期の日本の「千里眼」能力者、御船千鶴子の事例も紹介されています。千鶴子に対しては、東京帝国大学の心理学者、福来友吉さんが能力者の精神状態をよく理解し、適切な配慮をしていたようです。しかし周囲の無理解や手厳しい態度は、ナターシャの場合とよく似ていました。結局、千鶴子の服毒自殺(享年25歳)という結末を迎えます。(ちなみに福来友吉は後に大学を追われることになります)

 石川さんは、能力者に対する実験進行の典型的パターンを次のように描いておられます。
1 能力者だと騒がれる人が現れる。
2 厳密な実験が企画される。
3 不十分な実験結果に終わる。
4 批判者は能力を認めない。むしろ厳密な状況でできないことこそ、トリックがある証拠だと考える。
5 能力者および支持者たちは、実験のやり方を批判し、厳密な実験を嫌うようになる。

 随分前に、本ブログでデボラ・ブラム著『幽霊を捕まえようとした科学者たち』を紹介しました。これは、イギリスとアメリカのSPR(心霊研究協会)の草創期の物語です。私は、石川さんの描く典型的パターンを読んで、著しい既視感に襲われました。19世紀末から20世紀にかけての心霊研究における科学者と霊媒の関係にそっくりだったからです。

 私は、スピリチュアリズムと心霊研究の分離を残念に思っている人間のひとりです。能力者(この場合は霊媒)は、現代においてももっと科学の検証を受けるべきと偉そうに言ったこともあります。しかし、このような能力者に対する仕打ちを見ると、安易にそう言うわけにもいかないなと考え込んでしまいます。分離もやむを得なかったのかな・・・と。それでもスピリチュアリズムが科学性や合理性から遠ざかって行ってはいけないという思いは変わりませんが・・・。

 科学者も、ほかの場合には、実験対象に対して、もっと配慮に満ちた丁寧な対応をするのではないでしょうか。例えば、医学における治験患者への対応はどうでしょう。しかし、霊媒や超能力者に対しては、人権を無視したような対応ができてしまうのはなぜでしょう。

 そこには、どうせインチキで、相手はペテン師に決まっているというような思いがあるのではないでしょうか。ペテン師の人権に配慮する必要などないのだと・・・。

 おっと、またまた懐疑論者を装った「かたくなな否定論者」の問題に戻ってしまいましたね。

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