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2012年10月 3日 (水)

経済をなめてはいけない

 随分ご無沙汰してます。なかなかまとまった文章を書く余裕がなかったのですが、生きているという証に、たまには書かせていただきます。

 2012年の今年はニューエイジ界ではアセンション論議が喧しいのでしょうか?最近フォローしていないので実はよく知りません。アセンションについては、ずっと以前に(本ブログ記事第1号!)「『宇宙人のしゅくだい』-アセンション論議に思う」という文章を書きました。この考えは変わっていません。

 アセンション論議とは別に、スピリチュアリズムの世界でも、リーマンショック後の世界同時不況(それから東日本大震災)を、物質中心主義から精神性重視への時代転換のチャンスと捉える主張が目立つように思います。

 例えば、スピリチュアリズム普及会(旧・心の道場)は、2010年1月1日発行のニューズレター第48号で「経済的困難は、霊的進歩のチャンス」との見出しで、「今後、日本はさらに厳しい経済状況へと追い込まれていくことになります。政府には打つ手がなくなり、多くの日本人が経済的困難を悲劇と考え、悲嘆にくれることになるでしょう。これから日本を襲うことになる経済不況は、経済収縮を引き起こし、国民の生活レベルを引き下げ、貧困を拡大させ、犯罪を蔓延させて社会不安を増大させることになるでしょう。多くの人々が、今とは比較ならないような絶望の淵(ふち)に立たされることになります」と恐ろしげな予言をしておられます。そして次のように続けます。「しかしそうした国家の大ピンチは、霊的視点から見るなら霊的飛躍のための“大きなチャンス”となります。物質的・経済的な破綻(はたん)によってどん底の状況に置かれた人間は、否応なく精神世界・霊的世界に意識を向けるようになっていきます」。

 また、スピリチュアリズム普及会とは犬猿の仲とも言われる(笑)江原啓之さんも、近著『予言』の中で、東日本大震災という未曽有の大災害を受けて、日本人が物質中心主義的価値観から脱却することを訴えておられます。-「戦後復興する過程で、アメリカの物質文化に感化されすぎたけれど、そうした見た目だけの豊かさを追い求める生き方に、ようやく別れを告げられるときがやってきたのです。・・・これからは、精神を「主」とし、物質を「従」とする生き方に変えていくときなのです」。

 私はこうした考え方に基本的には異論はありません。やたらと絶望的な未来を予言したり、物質主義をアメリカのせいにする姿勢には違和感がありますが、スピリチュアリストとしては、困難な状況を前にしても、そこから何かを学び前向きに生きていくというのが基本ですからね。

 ただ、こういう考え方が勢い余って、もはや経済的な豊かさなんてどうでもいいのだ、経済成長なんて要らないんだというような方向にまでいくとしたら(上の二者はそこまではおっしゃっていません)、私は反対です。

 「経済をなめてはいけない」~一言で言えばこれが私の立場です。江原さんは、現代は物質的な豊かさは満たされており、こころの豊かさが大切であるという趣旨のことも書かれています。しかし、世界で例をみない20年以上にわたるデフレが続く今の日本に、この発言はあてはまるでしょうか?江原さんと私は実は同い年です。私たちが学生時代、ある経済学者は、現代日本はついに飢えと失業の恐怖から解放された社会になったと豪語していました。そして、その頃は、これからはこころの豊かさを追求すべきという論調が流行りました。しかし、今や失業や飢え寸前という状態が日本のあちこちに溢れているのではないでしょうか。

 デフレや不況のままで、失業や貧困を解消する道も理屈上は可能なのかもしれません。しかし、最も効果的なのはデフレを解消し、経済成長を実現していくことではないでしょうか。不況のしわ寄せはどうしても弱者に行きます。

 環境破壊や拝金主義につながる経済成長をいつまでも続ける必要があるのかという主張もあるでしょう。しかし、経済成長が必ず環境破壊や拝金主義につながるわけではありません。経済学者の飯田泰之さんは、人間はほうっておくと毎年2%ずつぐらい賢くなるという「2%仮説」を主張されています。別に金に目がくらんだわけではなくても、人間は仕事をしているとそれなりに創意工夫をして、毎年2%ぐらい生産性を上げてしまうということのようです。この本来あるべき年2%成長ができない状態というのは、経済システムのどこかに故障が発生しているということです。せっかくの能力や創意工夫が生かされない状態ですから、是非とも治すべきではないでしょうか。

 それに対して、経済的困難状況は、精神性の向上にはよいので、あえて克服する必要がないというような主張が出てくるとしたら、私は反対です。

 こころの豊かさの追求は大切です。そこには全く異論がありません。しかし、経済の舵取りを誤って、悲惨な社会を生み出してしまった例は、歴史上世界中にたくさんあります。そして、それは人々の善意ではカバーしきれないほどの不幸を生み出してしまう場合もあります。

 「経済をなめてはいけない」~やはり私はそう思います。

(参考文献:飯田泰之・雨宮処凜著『脱貧困の経済学』)

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