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2010年7月29日 (木)

こぼれ話~熾烈な論争「モーゼス(人間)VSインペレーター(霊)」

 ステイトン・モーゼス著『霊訓』を久しぶりに読み返してみました。やっぱりすごいですね。

 モーゼス(1839-1892)は、英国国教会の牧師でしたが、霊媒能力を持ち、自動書記通信を中心とする霊界通信を受信し、後にその内容を公表します。その霊団のリーダーがインペレーターと名乗る霊でした。

 この『霊訓』の何と言ってもすごいところは、モーゼス(人間)とインペレーター(霊)との熾烈な論争です。

 インペレーターは、スピリチュアリズムを説きながら、キリスト教の教義である贖罪や三位一体や最後の審判などの考え方を徹底的に批判します。実は、数年前に初めて『霊訓』を読んだとき、モーゼスのうろたえぶりに、逆にとまどいました。20世紀の霊訓であるシルバーバーチに慣れ親しみ、キリスト教については聖書物語ぐらいしか知らなかった私(以前「私にとってのイエス」で書きました)から見たら、インペレーターの語る内容の方が、シルバーバーチにそっくりで何の抵抗もなく受け入れられました(スピリチュアリズムに懐疑的な人なら、シルバーバーチの霊訓はインペレーターのパクリだと言うかもしれません。それぐらいそっくりだと思います。)

 モーゼスは、その通信内容の高尚さや首尾一貫性は認めつつも、自分が牧師として信奉するキリスト教の教義と矛盾する点に対して、激しく抵抗し、その真実性についての証拠を求めます。

 モーゼスは、あるとき、(1)インペレーターの地上時代の身元、(2)イエス・キリストの本質と使命、(3)通信の内容の真実性を示す証拠、の3点について、自分以外の霊媒を通じて通信するよう要求し、その霊媒を指定したいとまで言います。

 私は、当初これを読んだとき、私自身も、スピリチュアリズムの真実性の証拠を追い求めていたので、実にもっともな要求だと思いました。そして、なぜインペレーターは、その要求に応じないのだろうと不審に思いました。

 しかし、今、読み返してみると、実はモーゼスは、その時点までに、すでに何度もいろんな証拠を提供されていたのですね。しかし、牧師として受け入れ難い思想について、どうやら真実に違いないと確信し出した時点で、逆に、不安になって、もっと証拠を、もっと証拠を、と慌て出している様子が伺えます。そして、インペレーターはそれを見抜いていたようでした。(ちなみにインペレーターは一時、あまりに頑固なモーゼスに霊団総引き上げの最後通告さえ出します。)

 モーゼスは、通信内容を真実だと認めると、今度は、反対派(これまでの仲間のキリスト教関係者たちを想定していたのでしょう)の批判に応えるために、証拠を完璧なものにしてほしいと要求します。これにもインペレーターはあまり応えていません。落ち着いてこれまでの通信を読み返してみよと言うばかりです。

 そして、その後、モーゼスは落ち着きを取り戻し、インペレーターから、証拠うんぬんではなく、宗教や思想についての丁寧な通信を受信していきます。

 手に汗握る展開です。モーゼスは、霊媒であると同時に、とても厳しい審神者(さにわ)として振舞っていたと言ってもいいように思います。

 19世紀のモーゼスと21世紀の私たちを比べてみて、愕然とします。モーゼスも当時の軽薄なスピリチュアリズムに対しては厳しい視線を向けていたようですが、21世紀の私たちは、スピリチュアル・ブームと言われる状況の一方で、モーゼスに相当する存在を持てていないような気がします。

(参考文献)
W・Sモーゼス著、近藤千雄訳『霊訓〈完訳・上〉』
W・Sモーゼス著、近藤千雄訳『霊訓〈完訳・下〉』
(いずれもスピリチュアリズム・サークル「心の道場」)
「心の道場」公式サイトで全文を読むことができます。

*「心の道場」公式サイトについては、共感できない部分もありますが、貴重な情報が満載されており、とても勉強になります。

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